海外90年代アドベンチャーゲームクラシック「Broken Sword: The Shadow of the Templars 」感想と考察 ios名作アドベンチャー探訪2

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 iosで遊べる名作アドベンチャーその2!ということで向こうのアドベンチャーのクラシックと言えるだろう「broken sword」の初代のレビュー。日本のアドベンチャーもアニメとゲームが地続きになってるのをひとつ完成系にしていると思うけど、向こうのアドベンチャーの流れを見るに演出や表現全体の完成度を高めていってそういうゴールを目指すということのはあっちが早かった、というのも考えて面白かったですよ、と。

 日本ではMMVよりPS2にてリリースされた第三作「ブロークンソード・眠れる龍の伝説」を知っている人も少なくないと思うが、これが原点だ。

 さて2011年時点の海外によるアドベンチャーベスト100の内の4位に位置する傑作ということで、内容もヨーロッパのカルトとして名高いテンプル騎士団をモチーフにしたものということでどんなえげつないものかと構えていたが実際その中身はかなりライトに遊び易いもので、ヒント機能も完備されてるので結末まで行きやすく、ほんとに映画を一本見るか小説を一冊読むかくらいの感じで全体のストーリーを追っていける。

 幼いころより父子家庭として育てられて来たのだが、父を飛行機事故で亡くした記憶を抱える、パリで暮らすジャーナリストのニコ・コラードが、フランスのメディアを牛耳る大物であり大統領候補でもあるピエール・カーションのインタビューを依頼される。彼の豪邸へと赴くのだが、インタビュー直前というときに謎の暗殺者によって殺されてしまう。

 それから次の日のパリのカフェにて、観光に来ていたアメリカ人弁護士ジョージ・スチュバートがくつろいでいる時にピエロが突如走り込んで来て、トレンチコートの男のブリーフケースを盗み去り、楽器を置いてその場から走り去ってしまう。あいつは一体何だったんだ?そんな疑問を差し挟もうとした瞬間に楽器が爆発し、カフェを吹き飛ばしてしまう。

 立て続けに起きた事件の謎に関わる中で、ジョージとニコは出会うことになり、その謎を追いかけることになる。その中でニコの父親の過去の事を知っていくと同時に、事件の裏側にはテンプル騎士団がいることが分かり、テンプル騎士団を巡ってヨーロッパを回る探索を行うのだ。

 

 

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 「ウォッチメン」のデイヴ・ギボンズによるアートによるオープニングはサスペンスフルな導入であり、通常の操作画面も質の高い欧米のアニメの如きグラフィックとなっており、そこが映画に没入しているかのような効果の大きな基礎になっている。声優の演技の質も高く要所に差し挟まれるアニメも通常の操作画面との極端な違いはパッと見では差は無く、挿入のタイミングも、プレイヤーが置いてけぼりにならないくらいの再生時間のあっさりとした短さも綺麗に収まっているおかげで現代のAAAタイトルの傾向にも連なる一本の映画に没入するかのような構成が出来ているかに見える。

 こういうゲームと映像の没入の一致と思うのは、「broken sword」1996年発売当時を想像してのバイアスはややかかっているけど、当時は映像を主にする場合その他のゲームデザインはグズグズになっての一点突破であるか(「やるドラ」など)、また既存のゲームシステムの上にアニメの演出を乗せるなどで有名だった「天外魔境」シリーズみたいなイベントだけアニメ的な派手な演出が入るが普段は俯瞰視点のドットで描かれたRPG画面というイベントとゲーム操作のシーンの乖離が激しいものは多く、まだまだテクノロジー的にもメソッドの面でも成熟していないおかげで既存のゲームジャンルが先で派手な映像が後に付いてくる形が大半だったと思う。

 今考えてみればアドベンチャーゲームが先駆的とも言えるそれを出来ていたとも言え、それはグラフィックアドベンチャーという名称にもあるように、早い段階で視覚的な探索&パズルシステムを構築しており、そのおかげでゲームプレイ画面と映像演出との乖離が少なく、むしろ融合していくような構成になれたのではないだろうか?(って、まだまだこのジャンル遊びきれてないので確証もって言えないけれど)

 

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 とまあ、本作の先駆的であった面はシエラオンラインとルーカスアーツが大部分を定義したポイント&クリックのグラフィックアドベンチャーの完成形の一つということになるのだと思われるが、やあっぱ全てが完璧というわけでもない。

 ここまでの説明だと二人一緒に謎を解く男女のバディものだと思われるだろうが実際のところ、二人が出会ってからの基本はジョージ一人がメインに動いてニコはパリのアパートでジョージの報告待ちという構成で、ジョージの探索した結果を聴いてジョージはまた遠くまで探索に・・・というスタイルで二人一緒に行動するのはわずか!パシリか!なんて相棒の関係だ!

 これは元々のディレクターズカット前のオリジナルが完全にジョージ単独の主人公のラインでニコはおおよそ探偵に対しての助手か秘書みたいな役割だったんだけど、続編が作られるごとにニコ個人の役割が増え、ゲームプレイ上でも重要なキャラになっていったおかげでリメイクの際にそのあたりのフォローが必要になったことで本作のニコのパートはそういう面での付け足しだったゆえ、ということだろうが、追加して描かれたニコのパートは自分の過去にかかわるものというこれまたアドベンチャー的に盛り上がるストーリーラインゆえに、尚更本編での動かなさが浮く。

 そして「アニメも通常の操作画面との極端な違いはパッと見では差は無く」と書いたけど、やっぱこれも時間が経過した上でのデイブ・ギボンズによるグラフィックと当時のこのアニメのキャラクターのグラフィックの差はいかんともしがたく、特にヒロインのニコなんかはアニメではシーンによってとんでもなく厳しいことになっているのである。

 とはいえ、テンプル騎士団の歴史や遺産を追う中でアドベンチャーゲームでありがちな「なんでか一人で異様なアイテムを多数抱える」とかにパロディ入れたりとか、いろんなところを調べる時に聴けるジョージのしょうもない独白などなどにああどこも変わらね―なあとか、ところどころおかしいキャラクターのセリフにちょっと笑ったりとえらくポップな「インディージョーンズ」みたいな気分の強いアドベンチャーなのである。っつうか作り手も意識してのことか作中に「インディージョーンズ」の妙なオマージュを捧げてるかのようなシーンもあるし。

 

 しかし「インディージョーンズ」系統の作風ということでは、間もなくアドベンチャーの探索とアクションのハイブリッドになった「トゥームレイダー」などが席巻した時勢も関係するのか、「broken sword」も1997年の第2作目「The Smoking Mirror」からなんと6年後にはフル3Dでの第3作「The Sleeping Dragon(眠れる龍の伝説)」が2003年、それから3年後の2006年にはWindowsのみで「The Angel of Death」と、今や数少ない、アクションアドベンチャーにされがちな題材でありながら純グラフィックアドベンチャーで映画的でアニメ的な没入感を持ち、ひと癖ある主人公たちの冒険譚という、ところどころに長い空白期間を経ながら続いていくシリーズなのである。

 そしてそれからさらに7年の月日が経過した今年2013年、Kickstarterで資金を集め、なんと最新作「The Serpent’s Curse」がリリースされるという。以下のトレーラーを見る限り、キャラクターはイラストが動くみたいな形の3Dにして、横視点でのポイント&クリックに原点回帰する形の構成になるようだ。こちらはどうなるのか期待。

今回プレイしたのは「Broken Sword: The Shadow of the Templars」ios版

Android STEAM GoGなどでも配信中。

 

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