デビルメイクライやベヨネッタはどこから来たのか?「スラッシュアクション」仮設の歴史・序章 発生と成立編

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_ここ何年かの日本のゲームの光景を作り上げたのはFFやMGSのムービーをたくさん使うストーリーテリングなんかじゃなくて、もしかしたら鬼武者やデビルメイクライ、真三国無双などのスラッシュと無双がなによりも大きかったんじゃないか?

・スラッシュアクション仮設の歴史 序章・誕生と発展編

・第2章・かつてのシリーズ復活とジャンル追従編

・第3章・独立系デベロッパーによるラジカルエクスプロイテーション編

・最終章・海外勢そしてプラチナゲームス、日本のゲームの光景の象徴編

 いつからこの流れが起きたのかの断層もそこまではっきりしてない上に、うんざりするくらい当たり前にこうしたゲームを目にするせいで、ずっと前からあったような気もするアクションゲームデザインがある。不思議なことにここまで多くリリースされ、長く目にしながら今だ明確なジャンルの名称や定義を聞いたことが無い。

 それは「デビルメイクライ」から今のプラチナゲームス「メタルギアライジング」などなど、PS2あたりから数多く見られるようになった、プレイヤーのボタンを押す入力から高速で出力されるキャラの斬撃でコンボを重ね、多数の敵を撃破していき高いスコアやランクを獲得していくあの手のアクションゲームの形態のことだ。あれは一体いつ生まれ、そして如何にして発展してきたのだろうか?

 便宜的にオレはこうしたアクションの総称を「スラッシュアクション」とここでは書いている。かなり長い期間このジャンルは続いていながらちょっとネットで調べたレベル(ゴメン最悪かも。)ながら業務用のSTGの発展と分岐、栄光と衰退の歴史のような記事は見ておらず、ファミ通や電撃などがもうとっくにやってることかもしれないのだが簡単に自分で調べたレベルでのこのジャンルの誕生と発展の仮設の歴史をまとめてみた。

 また、スラッシュアクションの光景はオレには昨今の「ファイナルファンタジー13」シリーズを含めての日本の家庭用コアゲームの平均的な「ゲームプレイの画面」の光景をこれらのゲームが象徴してみせているように思えてならない。少々無茶ではあるが2000年前後に発生してきたこのジャンルの歴史を探り直すテーマの裏として、日本のコンソール独特の光景なんじゃないか?ということに関しても言及してみたい。

 かなりオレの主観・経験に偏っており、不備がありまくると思われるので重要作で抜けているところや事実関係のおかしな部分、筆者がザルのため曖昧に表記されてるハードの機能の進歩による技術進化の側面などはコメントにてお願いしますと思いつつ、当たり前に存在するようになったこのジャンル発生の謎解き、もしくは死角からの2000年代以降の日本家庭用ビデオゲームの傾向を振り返るエントリシリーズ。

▼「スラッシュアクション」の簡単な定義と範囲

 さて「スラッシュアクション」をまとめてみるエントリだけど、まずいったいどこからどこまでのゲームメカニクスの作品をこのジャンルに含めるのか?という範囲をある程度決めておく必要があるだろう。とりあえず今回はおおよそ以下に当てはまるものを対象としている。

1・三人称視点での3Dアクションゲーム。

 

2・基本的には「敵と交戦する」ことと「マップの謎を解く」二つの進行を併せ持ったアクションアドベンチャーの構成であるが、前者のアクションに徹底して比重がかけられデザインされている

 

3・そのアクションもジャンプなどでマップを踏破していくことなどが主ではなく、敵との交戦そのものに比重がかかっており、それにスムーズに集中できるように敵撃破後にばら撒かれる資金・アイテムがほぼオートで取得されるなどデザインされている。
 

 

4・多数の敵との交戦によるコマンドの組み合わせによるコンボや、敵の攻撃からの回避・防御を主体に、如何にアクションを途切れさせずに繋ぎ、早いタイムで撃破するかといった面が判定されるクリア後の評価

 

5・リアルなアクションのアニメーションではなく、プレイヤーがボタンを押す入力から即、出力される高速のアニメーションによるアクションという、入出力の速度の一致したレスポンス

 なので「ひとりのプレイキャラが一振りで多数の敵を葬り去って戦況を変える」という光栄の「無双」シリーズなどは操作体系などが近く、これも2000年代序盤より勃興しており重なる点も多々あるのだが、際限が無くなってしまうので内容を絞るために、体系化や系譜を紡ぐまではせず一部にのみ留める。本エントリの裏面として光栄中心に3DでのRTSとアクションの二つを軸に別口で振り返るべきだろう。(どなたか関心持たれたらまとめてみて下さい。mk2の各年で発売されたアクションのリスト眺めながら本記事まとめましたがほんと知られざるの宝庫って感じで面白いスよ、と)

 また簡潔に言って「一つのステージ内で、一定量のザコを撃破して進行していき最後に待つボスを倒しクリア」という構造は2D時代のベルトスクロールアクションと重なる点が多々あるので、本稿ではやはりカプコン系列の作品が主になるのだが、2D時代のベルトスクロールまで振り返ればより明確になると思われ前史としての言及は必要ではあるが、まずエントリの方向上2000年代以降の「いかに3Dアクションが変貌して生まれていったか」に絞る。  (ベルトスクロールアクションの歴史や構造がいかに未来に繋がったか?あたりの文脈でざっと調べたところ島国大和氏の「「ベルトスクロールアクションの歴史」「炎の一人ゴマ」様のこのあたりの記事がその辺のコントラストを簡潔にまとめているように思います

 1996年・カプコンの『ダンジョンズ&ドラゴンズ シャドーオーバーミスタラ』 その基礎メカニクスから多彩なスラッシュムーブ・ボムである必殺の魔法などなど、デビルメイクライや鬼武者の祖先を感じさせる。

 

 というわけでおおよそ以上の条件に沿った作品を取り上げて行き、いかにスラッシュアクションが生まれ一代ジャンルとなってきたのか?の考察。ここから書かれる中にはある程度の構造の誤差ゆえ上の条件からこぼれてるのもいくつかあるかもしれない。

 

▼スラッシュアクション前史の3Dアクションアドベンチャー・「バイオハザード」と「ゼルダの伝説 時のオカリナ」が与えた影響

 スラッシュアクションが今のように広がる以前では、まだ3Dで高速の攻防を行うにはハードの処理能力も低かったことや、カメラワークや操作も含めて最適なメカニクスも構築し切れていなかった、というのがあると思われるのだが、このジャンルを定義した作品を生んだ主要な作り手の経歴やインタビューを読むに、純粋なアクションからスタートしたわけではなく、まず3Dアクションアドベンチャーから分岐し、影響を受けてきたという印象がある。

 ふと調べ直しても2000年代以前、PS・サターン・64時代の90年代では3D空間での純粋なアクションで、プレイヤーの敵との攻防技術を競わせるタイプというのはさして多くは聞かない。自分の知識ではセガのアーケードで2Dベルトスクロールアクション「獣王記」「ゴールデンアックス」の系譜である、1996年の「ダイナマイト刑事」がやっていたくらいか・・・

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    「ダイハード」をモデルとした映画的進行、そこにアクションを組み合わせたQTE・コンボアクションなどなど、今だ3Dアクションが行っている構成を先駆的に行っていた。

 おそらくまだ当時では3Dでの空間によるアクションというのはハードの処理能力の問題から、最適にアクションできるメカニクスが構築し切れていなかったからではないか? 実際「バイオハザード」も開発の初期には「刀を持った主人公が街を歩く」ゲームとして制作されており、背景もキャラクターもフルポリゴンにする予定だったが、スペック的に不可能だった」らしい。スラッシュアクションで重要である、3Dでの「プレイヤーの入出力の一致したアクションによる敵との攻防」というのは当時、「バーチャファイター」「ソウルエッジ」「ソウルキャリバー」などの対戦格闘のジャンルが強く実現されていたと思われる。そしてそのエッセンスも以降に生かされることになるのだ。

 なので、90年代の3Dでのアクションでは敵との交戦の快楽以前に、まず「空間の探索・踏破」といったアクションアドベンチャーの形式を完成させたものが高く評価されたケースが多い「トゥームレイダー」から「ゼルダの伝説 時のオカリナ」などが敵と交戦するアクションと、3D空間でのマップを探索して仕掛けられた謎を解いていくアドベンチャーのふたつのゲームメカニクスが合わさったジャンルを3Dで完成させていく。

 3Dによるホラーアドベンチャーの嚆矢である「アローン・イン・ザダーク」に強い影響を受けていたPS・SSでリリースされたカプコンの「バイオハザード」は初代こそ抑制されたゾンビやクリ―チャーとの銃撃戦と閉鎖的な洋館での謎解きといった恐怖感を生むデザインが為されたアクションアドベンチャーだった。

 だが、「2」以降のシリーズから全体的な恐怖というよりも銃撃戦への比重が強まってくる。開発初期の剣劇アクション志向も含めてそうした伏線もあり、シリーズ自体もシューターが市場に広まる世界的な流れもありカバーの無いTPSへと移行していくのだが、PS2時代前後にはバイオの構造を使ったアクションが企画されてくる。

 

 初期のスラッシュアクションの交戦のメカニクスの完成において、暗に影響を与えていたのは「ゼルダの伝説 時のオカリナ」の戦闘メカニクスらしい。これは「デビルメイクライ」製作時の神谷英樹のコラム15「見所」より言及されているし、「ニンジャガイデン」製作のきっかけとして板垣伴信もゼルダの名を挙げている(ここは明確なソースでないが・・)。

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     時のオカリナが実装していたロックオンからスタートする「斬撃」「射撃」「防御」「回避」のスラッシュアクションの基本形

 たしかに今振り返ってみればスラッシュアクションが快楽をもたらすための主要動作を「時のオカリナ」は全て実装している。Z注目によるロックオンで敵を中心に旋回するように歩き、剣による「斬撃」と離れた相手に対しての弓による「射撃」、そして敵の攻撃からの盾による「防御」、見切ってのステップやバク転による「回避」。この3D空間での立ち回りを実現したきっかけとはスタッフが映画村で見た一人が多数を相手にする殺陣が発想の元になっているらしい。 やっぱ任天堂は偉大か!

▼2000年代初頭、ハードの処理能力の上昇により、バイオハザードの系譜から誕生した「鬼武者」「デビルメイクライ」、一対軍勢の「真・三国無双」の登場と成功

 そうした3Dアクションアドベンチャーが90年代に構築されると共に、ハードの能力が上がったPS2発売後の2000~2001年にはアクションゲームのドラスティックな変化を示すかのよう立て続けに以後の3Dアクションのジャンルやメカニクスを決めた作品が現れたのだ。

 まず2000年に「真・三国無双」による一騎当千のアクションが生まれ、「無双」シリーズを定義していく。極端に言って一人の強力なアクションを持つ主人公が多数表示されたザコを狩るという快楽の部分さえあればそれなりに何でもゲームとして持ってしまうというあまりにもシンプルかつラディカルなこのアクションのデザインを提示したことによって、多数のフォロワーやエッセンスを引用した作品が生まれたのみならず、光栄自体も膨大な数のシリーズを量産していく。

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      新規タイトルのフックとして金城武を主演とするPR面からそれを実現させたCG技術も含めて当時、次世代を感じた鬼武者。シリーズを重ねることにより松田優作・ジャンレノをも配役していく。

 翌2001年のカプコンからバイオハザードのエンジンによる「鬼武者」と、「バイオハザード2」のディレクターだった神谷英樹による、当初「バイオハザード4」として企画されていた中でオリジナルタイトルへと変わった「デビルメイクライ」という、バイオから分岐して、ハードの高い処理能力により実現した高速での斬撃と射撃のコンボによるアクションとしての爽快感と攻防が実現した2つの作品がリリースされる。

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      やっぱり凄いパイオニア。このジャンルの快楽のほぼ全てを抱えるデビルメイクライ

 まだ操作体系にバイオの影のある「鬼武者」と比べ、特に「デビルメイクライ」がこのジャンルの良質さから弱点まで含めて早い段階で定義している。

 それはスラッシュアクションがどの点を持って快楽を与えてくれるか?というゲームデザインのレベルを判断する主要な要素を提示している。以下の4つのアクションを回転させ、敵やボスがそれらを促す攻撃や動作を行う攻防を生むデザインであればあるほど完成度の高さが測れると思われる。

 敵と近い距離での剣や打撃など「斬撃」のコンボ。遠い距離にいる敵や、弾き飛ばした敵に対しての「銃撃」など飛び道具での追撃。敵の攻撃を見切っての「回避」の動き。そして「3」で加わった相手の攻撃をジャストで合わせてカウンターを打つ「防御」「デビルメイクライ」はシリーズを重ねることによりこれら4大要素を「スタイル」として選択できるようになるなど、確信的にこれらのアクションが本質にあることを示している。

 これはカプコンであるし、アーケードゲームから対戦格闘の攻防の面白さや操作性などとも繋がる点でもあり、本質を定義するような方向を固めることができているのもそのあたりにある気がする。他メーカーの作品でも名を成していくもののアクションのレスポンスの高さの裏には、アクションの入出力のレスポンスや戦闘の攻防の基礎として対戦格闘の制作経歴があるものが少なくなく、「真・三国無双」にしても元はPS時代の「三国無双」という格闘ゲームなのだ。

 

 一方で高速で攻防を行うスラッシュアクションが慢性的に抱えている弱点もこの時点から現れている。プレイキャラを捉えきれなかったり画面外の敵が攻撃しかねないというカメラワークの悪さなどや、多数のザコとの交戦に比べて巨大ボスとの闘いが大味になりがちだったり、どうしても構造上リアルなアクションのアニメーションを指向しないことから生まれる世界のルールの軽さなどなど。

 これら3作は2000年代初頭のPS2にてミリオンを突破する売上を見せ、新たに市場を切り開いた。ゲームの内容もセールスの結果も打ちたてたことにより、このプレイヤーに向けて大きな快楽と硬質なチャレンジをもたらすメカニクス&デザインを追いかけた作品が膨大に生まれることになるのだが、それは休眠していたアクション・シリーズをも再び呼び寄せる結果にも繋がったのではないか?という流れが起きる。

 

 と言うことで次回・第二章は復帰する2Dハードアクションシリーズと、スラッシュを追従するパブリッシャーたちの作品に続く。

■さて次回に進む前にお勧めスラッシュアクション映画・その1■

「ブレイド」(1998)

 ウェズリー・スナイプス主演映画シリーズ。鈴木雅之のパロディで見かけた人も多いだろうサングラスの身なり・架空デザインの銃、架空デザインの刀、黒のロングコートと何の根拠もなくカッコいいもの全部載せによるガン&ソード&カンフーで吸血鬼と闘うというアメコミが原作。


 
映画秘宝系ライターによりその現実というドグマ無視の全能感に感心したゆえか「黒い中学生」とも評された本作だが、一目見れば恐ろしいまでに「デビルメイクライ」に影響を与えたのではないかという造形やアクションなどの設定を為している。高いCG技術による吸血鬼が銀の銃弾を撃ち込まれ消滅するエフェクトなども含めて後のアクションゲーム表現に影響を与えたのではないか?と想像できる。

 それにしてもスラッシュアクション頭で見てたらムービーシーンだけ切り取って編集したかに見えて仕方なかった。

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//]]>

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3件のコメント

  1. はじめまして。
    「ダイナマイト刑事」を挙げるなら、同じくベルトスクロールからの直径子孫である英コアデザイン「メタルフィスト」(ファイティングフォース)も挙げておくべきかと。もともと「ベアナックル4」になるはずのゲームでしたから。
    (3)の基点がベルトスクロールアクションにあるとすれば、(1)の基点にあるのは「スーパマリオ64」といえるかもしれません。従来の2Dアクションゲームで培ったものを3Dに持っていくにはどうすればいいかという回答を示した、最初のゲームのひとつだからです。

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  2. あと現代における「ファイナルファンタジー」シリーズの風景まで同列に語るのであれば、『ディアブロ』を基点とするリアルタイムハック&スラッシュもルーツのひとつに数えていいのではないでしょうか。

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  3. > hallyさん
    2001年入る前のプレ・DMC&無双のデザインとして
    「ダイナマイト刑事」の後にも挙げられている「メタルフィスト」の他
    セガの「スパイクアウト」などもあるわけで、
    このまとめはいま読み返すとやっぱいろいろ抜けてるとこありますね…
    書いた当時のモチベーションで
    なんか日本のコンソールではスラッシュ&無双多いな…
    けっこうこれが今のFFやらテイルズやらのリアルタイム操作の風景の基礎っぽくないかと
    演繹を走らせすぎてて読み返すとハマらないとこあったので、また修正します
    余談ですが、VORCというゲーム音楽イベントなどを開催されているとのことなので、
    ビデオゲームと音楽関係ネタの時にはまたご意見よろしくお願いします

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