JRPGは映画の時代が崩壊してTVドラマ時代に突入という感じ「チェインクロニクル」感想と考察

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 JRPGの現在とはどこにあるのだろうか?海外大手サイトIGNでは「PS3トップ25選」 にてJRPGで唯一選ばれたレベルファイブの「二の国 白き聖灰の女王」の中で、その賞賛の背景として「JRPGのファンにとって、このジャンルが今世代中に大きく衰退した姿を見るのは悲しかった。」とジャンルを評している。

 オレなんかはそもそもの日本製RPGを「JRPG」というジャンル名で呼ぶことが海外ベゼスダやバイオウェア作品が評価されていく一方で逆輸入されるかのように広まってきた時点で「日本製RPGのカットシーンとゲームプレイシーンの当然の分離。さらにフィールド・戦闘のような各シーンの分離。ゲームプレイ面の上限に「やりこみ」という言葉に代表される蓄積と収集要素への集中。」といった、その構造を越えることも脱構築もすることなく特殊性を特殊性のまま放置したその傾向をそう言ってるかに見え、あまり良くは聞こえなかった。

 

 JRPGってのは「FF10」がカットシーンとゲームプレイのつなぎを当時かなりのレベル埋め合わせることで、現行の「アンチャーテッド」などが実現しているような長編映画の流れに乗るかのようなビデオゲーム体験を実現し、もう一方で「FF11」でのオンラインに踏み切ることによるゲームメカニクスの前進に手を付けたPS2時代の2001-2002年あたりを最高点として以降、小島秀夫のいうような垂直方向の進化というのはストップしていると思う。(枯れた技術の水平方向では「ゼノブレイド」「ペルソナ3・4」が優れていた。)

 さらにビデオゲームの買い切りでのパッケージビジネスは大作でコストのかかり、リターンも難しくなりつつある現在、限られたタイトル以外はコンソールで作れなくなり数多くのメーカーがソーシャルゲームへと手を出している。スマートフォンによるネイティブアプリ時代はじめ、F2P(基本無料)時代が到来しつつあり、従来の関係が変貌しつつある。

 ただオレにはその流れはかつての(そして現在の)映画とテレビの関係なんかを想起させられる。買い切りの豪華な体験ってのが極に来ちゃってコストやマネタイズの問題で失速し、当り前に一人一台というレベルで普及しているスマートフォンやPCブラウザで展開される基本無料で展開される構図ってのはその流れに似通っているように感じられる。

 もちろんビデオゲームと映像業界は構造がまったく異なるのでたとえ程度の話なんだけれども、JRPGの持つクリエイティビティのホットスポットは今後このF2P周辺で、早い話「映画の時代が失速しつつある中テレビドラマ時代の到来」という感じでそれをセガのスマートフォンでの「チェインクロニクル」が率先して示しているかに見えた。ということで、JRPGは基本無料テレビドラマ時代突入なんじゃねえのという感想と妄想と考察。

●「チェインクロニクル」のテレビドラマ感

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 フィーチャーフォン(って俗にいうガラパゴス携帯)によるグリー・DeNAにSNSで行われたブラウザでのゲームによるソーシャルゲーム時代から、スマートフォン普及によるネイティブアプリへ流れがシフトしている最中である現在はもはやトレンドが変貌していて昨年ごろのソーシャルゲーム批評なんてみんな化石と化してるくらいに流れが速い。SNSのプラットホームを介さずリリースすることやネイティブによるゲームメカニクスや演出の上昇などにより、もうトレンドが変貌して「パズル&ドラゴンズ」の次の段階に足が掛かってんじゃないかってのを見かける。

 
 その次の段階の一手はこの「チェインクロニクル」がそうなんじゃねえかなと見え、これはガチャで引き当てたキャラ一人一人にもシナリオが存在するという膨大なシナリオ量を代表とした演出力で作品の完成度を詰めていってるというあたり、冒頭のJRPGの良質な特徴を搭載していってる意味で段階に入ってんじゃないだろうか?「パズドラ」ヒット以降は既存ソーシャルにクリック連打で進行できる部分をパズルにするとかクイズにするとか、そもそものセガもコインプッシャーにするとかまさかの「ぷよぷよ」にするとか2匹目3匹目のドジョウを追いかけていたのだが。

 「チェインクロニクル」は様々なレベルでこれまでのJRPGが実現してきた良質さをソーシャル構造に落とし込んでいる。もともとのソーシャルゲームの構造自体が日本人にウケているゲームメカニクス「蓄積と収集」を主体としているのだけれど、ここでは「黒の軍勢との戦いと鍵を握る謎の少女とともに、義勇軍を率いる主人公(プレイヤー)」というメインストーリーラインのテンプレートながらも、シナリオを進めて広がっていく世界や構図、膨大なキャラクターとのストーリーをクリアしながらその人間関係や背景から感じられてくる世界観などなどや、タワーディフェンスベースの戦闘のそこまで深くし過ぎないメカニクスと難度(割に重要)、そして気に入ったキャラクターの収集、強化と蓄積を経てさらに広がる世界観などなど総じてJRPGの特徴だった部分をおおよそフォローしている。

 単なるソーシャルゲームの体験というよりかはまさにJRPGの良質な部分をネイティブで実現してるあたりに、JRPGの基本無料のテレビドラマ化という実感がある。もう少しこのたとえを引っ張ればこのシナリオRPGって構成で多数のシナリオライター起用がテレビドラマのワンシーズンで複数の脚本家を使うかのような・・・というか。

 しかしこれをセガがやったってのはいささか皮肉めいていて面白い。日本国内のJRPGのフラッグシップを取り続けているスクウェア・エニックスも「拡散性ミリオンアーサー」でライトノベル作家起用のストーリー搭載によるソーシャルゲームとJRPGテレビドラマ化みたいなことをやっていたが、いかんせん既存のソーシャル構造に豪華演出乗っけるレベルだったり運営があまり良くなかったりでネクストには行ききれなかった中、オンラインも含めソーシャルの成長段階を踏んできてたセガゆえにこのあたりのJRPGの旨みを落とし込めてんじゃねえのかなと。

●映画の時代が黄昏てローリスクでのテレビドラマからコンテンツ成長(なんというか苦笑)の構図を思わせる、ここのところのJRPG界隈のコンソール・スマホと映画・TVの構図の似通い方

 
 こういう基本無料時代のビデオゲームのあり方をテレビドラマないしテレビ番組の構造全般にたとえるのも振り返ればやはりかなり早い段階で言及してる人がおり、たとえばユビキダスエンターテインメントの社長、清水亮氏は1999-2000年のころにすでにビデオゲームの未来をこう見通していたりする。

 ネットゲーム放送局は単一か、もしくは複数の番組を抱えながら維持費の続く限りユーザに対して新しい情報やゲーム世界を提供・運営しつづける。これはちょうど連載マンガのようなものである。

 連載マンガと決定的に違うのは、そこに一切の作家性を廃することだ。ネットワークゲームの開発・運営はもはや個人の手には追えない領域に進む。ちょうど、テレビドラマのように何人かの監督がもちまわりで開発を続けることになるだろう。テレビに比べて救いなのは、毎回すべての素材を刷新する必要がないことである。テレビ番組の制作で培われた製作の合理化技術を、より推し進めたものになるだろう。

 少なくともネットゲーム放送産業が立ち上がる何年かのあいだは、ユーザは毎日違う展開を見せてくれるゲームに夢中になるはずである。それはちょうど、テレビの黎明期に近いイメージだ。

 それを立ち上げていく過程でも、いまの出版業界と似たスタイルをとることは、芽生えたばかりの産業を安定させるのに役立つだろう。

 今のiモードゲームや、WEBベースのネットワークゲームにはまだ高度な表現技術は必要ない。基本的にテキストベース、静止画面ベースのつたない産業である。

 しかし、それはかつてファミコンの映像がテレビアニメに比べて表現力において劣っていたというのと同じように、それでも面白いゲームを造ることはできるはずである。

 そしてW-CDMAやスピードネットなどの普及により、各世帯に10Mbps規模の非対称ネットワークインフラストラクチャが整備されたとき、そのときこそネットゲーム産業が真に花開くときだ。

 リッチな映像表現と高度なネットワークゲーム技術によって現在は想像もつかないようなゲームを愉しむことが出来るはずである。

 あるときは、映像自体はサーバ側で合成したものだったり、またあるときは、あらかじめ用意・撮影されたものになるかもしれない。

 こうして、既存のプレイステーション2向けなどのゲームは映画のように*、ネットワークゲームはテレビドラマのようになって生き残っていくに違いない。

 これが今僕の想像しうるネットゲーム産業の未来図だ。

 もう全文引用してもいいくらいに面白いんだけども、書かれた当時はドワンゴでの携帯電話事業に関わっていた中らしく、「携帯がノートパソコン並みの機能を持つ」というスマートフォン到来の予測、そしてコンテンツの流通の変化や市場の変貌という未来予測の慧眼さ、といってもおおよそ結果出つつあるからブログに再掲載してるんだと思うが、大昔の携帯端末事業に関わっていた背景からの、テクノロジーの進歩を含んでのこの予測はやはり新鮮だ。

 そして現実にコンソールでの伸びは技術的にも芳しくなくスマートフォンはじめブラウザやオンラインの方向にプライオリティが置かれつつある中で、映画とテレビのたとえの現実感ってのも増してる。日本映画も70年代半ばから80年代にかけて洋高邦低なんて言われて海外作品に興行収入上回れたり、映画監督もテレビドラマの演出に進出したりというのは決して少なくなかった。早い段階でオンラインからスマホの事業にも進出してやってるセガは日本映画やテレビの方面に分岐していった大映の歴史なんかを想起させられる。(そうするとどこが松竹でどこが東映でどこが日活かって話になるけども)

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 JRPGテレビドラマ化みたいな流れをレベルファイブもスマホブランド「UNIPLAY」を立ち上げることで加速させていくかに見え、日野晃博みずからディレクションするという「ワンダーフリック」などは全体的に高い水準を予想させるし、「428」「タイムトラベラーズ」のイシイジロウによる「魔神STATION」などなどリリースしていくらしく、これがどれだけの成長を見せるのかはわかんないんだけどソーシャルのクリック部分をスロットにした「地球壊滅的B級カノジョ」よりかはもう少し戦略的に作ってるような気もする。でもまあ超大作というか、テレビドラマ制作会社としてのレベルファイブて見ると個人的にすごく座りがよく見える。

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 先ほどTGS2013の発表を眺めていたらカプコンからもディレクターに池原実、おそらくはキャラクターデザインは吉川達哉が行うなどあのブレスオブファイアシリーズのスタッフが中心となっていると見える「ブレイドファンタジア」なんて、あのマスコットの妖精さんなんかもいるあたり実質的にブレスオブファイアの系譜って感じで構成されている。テンプレートのガジェットながら捻じれたストーリーラインやゲームメカニック搭載のブレス印をうっすら感じるが、まさに名作映画シリーズがテレビドラマで復活みたいな話だ。

 こういうスマホRPGのテレビドラマ説にもうすこし乗っかっていくと、最終的な着地点の一つはドラマが人気出てからの映画化、みたいな感じでコンテンツの買い切りでのコンソール機などでのデビュー、という構図はあるとみえ、3DSでリリースされる「パズドラZ」がその試金石みたいに見える。まあこのあたりの領域になるとたとえのレベルを超えててうかつに映画・TVとコンソール・スマホタブレットの相似というには構造が違いすぎる面はあるけど。

●F2Pテレビドラマ時代はどこも変わらない

 

 こういう買い切りの大作によるコンテンツから安価で広い対象に日常的に浸透してるコンテンツのほうに市場が優先されて、結果的にそちらのほうに向かう現象というのは別に日本だけの現象ではなく海外(というがもうほぼ北米)でもあまり変わらない。

 そもそもの映画・TV関係にしたって近年のスピルバーグなんかも映画超大作時代の崩壊を口にして、彼をはじめ多くの映画監督がTVドラマ方面の制作に関わったりしているし、コンソールやってきた人たちがF2Pに、という構図もどこかしらそれを想起させられる。やっぱ買い切りのパッケージビジネスやコンソールってのも近い未来に終わるんじゃないか、って言われたりするのも含めて。

 スマホ・タブレットと足並み合わせた日本のソーシャルゲームの急速な発達と進歩によって、初期にはJRPGの持つ蓄積収集のデザインのガラクタ程度だったものが簡易で手軽なJRPGのテレビドラマ感というのが感じられるレベルまで来ているようで、様々な面でJRPGの現在形って今後よりいっそうこの界隈での張り合いにある気がする。

 そんなわけでFFもテイルズもこのスマホでのテレビドラマ路線にも手を出したり、ブレスオブファイアの実質的な続編とも見えそうな流れも見えつつあるってわけで、いまセガががんばってるならコンソール時代からすごくテレビドラマ的、いやテレビアニメ的進行だった「サクラ大戦」が長らく続編が待たれている状態だったりするけど、今ならスマホのネイティブで新作発表となるなら乗れる。ほら「デーモントライヴ」とかあーいうMOBA風味があれば・・・っていやあれはそこまでヒットしてないのか・・・テレビドラマ時代のヒットはやはりどうなんのかはわかんない。
 

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2件のコメント

  1. コンソールゲームで言えばWalking Deadがゲームのテレビドラマ化っぽいですよね(自分はまだプレイしていませんが)
    やっぱりクリフハンガーで話を盛り上げて、人気がある限りやり続ける海外ドラマみたいなことはゲームでは難しいんですかね
    F2Pのエースコンバットも出ますけどアレも開発自体は配信前にほとんど終わってそうですし

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  2. >(命名)後ろにペリンポロさん
    本エントリは特定の場所やシステムの上での買い切りから
    マルチメディアの一部として無料の時代にということで
    映画とTVの構図の相似形としてテレビドラマを例にしましたが、
    ウォーキングデッドのゲーム版、あれは確かに色々な意味で
    もっともテレビドラマ的といえばそうですね。
    iosバージョンだと基本無料でスタートして気に入ったら
    追加エピソードを買ってもらうって形が課金導線っていう。
    ここがF2Pゲームと実際テレビドラマの違いというか、
    鑑賞で完結する映像メディアとメカニクスをいじり倒す参加メディアのゲームの
    違いといいますか、ストーリー主体のADVの場合は課金導線に当たるポイントが
    物語の引きや興味のみなんで、効率が悪いからでは?などと言えますが
    ビデオゲームにおけるクリフハンガーってのは如何にゲームに
    興味持ち続けてもらってお金を落としてもらうか?という
    飽きさせないサービス提供が肝ですね。
    パズドラとかしょっちゅうコラボやったりとか。
    (しかし、この辺になるともはやF2P独自の話でありドラマのアナロジーではないですね・・・
    まあ本稿はそのサービス面にシナリオやキャラクターなど追加した結果
    JRPGの良質さをおっかけてる形になってるという話ではありますが 苦笑)

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