Game・Scope・Size’s Game of the year 2013

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 昨年は本当に豊饒な年だった。PS3やXBOX360の現世代機ファイナルの作品群もさることながら、スマートフォン・フィーチャーフォンで展開されるソーシャルゲームの尋常でないトレンドの移り変わりから、これまで視界に入れていなかったPCでのsteamやGoGなどのDLサイトや、iosといったプラットフォームにて膨大なラディカルな作品から実験作、海外ADVの過去作を遊べたことは非常に面白い体験だった。

 昨年はどれも面白くて選ぶのに困った、というのは何も自分だけではないと思うが、ビデオゲームに競技性(狭義ゲーム性とも・ダジャレみたいね)も蓄積・収集もあまり優先していないために、ベスト10はほとんどインディーズゲーム界隈ばっかりになってしまった。

10・GTAV

 これまでのシリーズと都市オープンワールドの限界値を、ゲームメカニクスを振り返った構成とロックスターでなければ不可能な莫大なデータ量で書き換える。

それにしてもミッドライフクライシス、サイコパス、レポマンという普通サンダンス映画祭とか局地的なテーマで全世界に売り上げる主人公じゃないはずのものがここまで全世界に広がっていると思うと凄い話だ。

9・The walking dead

 今や現代のアドベンチャーゲームのあり方を商業的な形でも構成的な形でも提示したといえるtelltale gamesの代表作。現実というものは二元論では測れないシビアで答えの出ない瞬間というものに遭遇するものだが本作はその感覚をビデオゲームで表現。少女クレメンタインが主人公のシーズン2は主観が大きく変わることになるがどうなるんだろうか?

 

8・thomas was alone

 パズルアクションとストーリーテリングをすり合わせることによる、ビデオゲームで分裂したままの感情と理性が寄り合うことによる極限の感動を引き起こすアプローチの傑作のひとつ。

 正方形や長方形の孤独に引き裂かれたAIたちが、(もしかしたら欠点かもしれなかった)それぞれの能力を協力しあいパズルを解いていくのに感情を揺さぶられる。

7・Gemini Rue

 こちらも現代アドベンチャーゲームにて、ポイント&クリックの伝統シエラ・オンライン&ルーカスアーツリバイバル的とも言える、ジャンルの根源的な面白さを持つ作品をリリースするWadjet Eye gamesによるハードボイルドの特性もSFの特性も落とし込んだADV。

6・Bioshock infinite

 本作はゲームメカニクスと表現したいストーリーテリングの分裂という失敗が起きていることは否定できない(銃撃戦の必要性が無い)のだが、これまでビデオゲームにはある種の演劇性(それは単純な人物の身振り手振りの表現からメタなところでブレヒト的な観客と演者の関係性までも含む)というのがあったと思うのだが、この作品はその中でも特にそうした演劇的性質を引き出すアプローチを行っており凄まじい。歴史から個人へ循環する構成には野田秀樹の演劇がやったそれをビデオゲームで見ているかのようだった。

5・Kairo

 今年は「Deat Ester」「proteus」などなどインスタレーション的と言えるFPS(こういうべきなのか)作品を数多く遊んだが、その中でも音響・空間・演出、そしてマップパズルのソリューションなどトータルの完成度が高かった作品。

 文明崩壊後の光景のような、それとも違うのか全く不明な単色の空間を行き来するインタラクションの快感もパズル解読の面白味も併せ持ち、エンディングまでたどり着いた時に見られる映像の解放感は見もの。

4・Brothers:A Tale of Two Sons

 上田文人の「ICO」あたりの流れを感じさせるファンタジーパズルアクション。一人のプレイヤーが右手と左手で操作する二人の兄弟。その捜査のままならなさはビデオゲームを触れていて分裂する感情と理性、ストーリーとゲームメカニクスなどあらゆる兄弟双子の関係そのもののようだ。その相容れないはずのそれが、まさかの最後に手を取り合う。そして爆発的なエモーションが起こる。

同着2・Hotline miami

 あんまり無いことだがスクリーンショットの時点で得も言われぬ凄まじいという直観が働いた、マイアミでのサイケデリックな殺戮の旅路。多くの言葉はいらない。

 
 こうした感覚をかつてのグラスホッパーマニファクチュアに大きく求めていたのだが、現在ではこの界隈がそのあたりのクリエイティビティ実現しているのだなとしみじみした。

同着2・Anodyne

 「Hotline Miami」のアート&サウンドプロダクトでも感じたことだが、個人的には音楽におけるウォッシュドアウトだとかトロ・イ・モイ、ネオンインディアンといったチルウェイブ勢のクリエイティビティと近似する感想を最も抱いた作品。

 「ゼルダの伝説 夢を見る島」の記憶と構成を引用し、孤独で陰鬱な世界観への展開。ドラムの全くないBGMの淡さや、風景の美しさ。ホウキが武器(※「新生トゥームレイダー」が主要武器が二丁拳銃から弓へと移るような武器と心理の象徴性みたいな考察でもやりたいところです)。iosで遊ぶって形さえ込みで自分の小中学生のころにゲームボーイで自室で遊んでいたって記憶さえ掘り起こされ、製作者との年代や環境の近さも感じた。

1・The Stanley Parable

 1位はこれ。コンセプチュアルFPSは今年も少なくない作品が生まれたのだが、中でも究極・総合的なのが本作。パソコンに指示されたことだけを行う従業員スタンレーに象徴されるビデオゲームとプレイヤーの関係を徹底してパロディにして笑うものだけど、ここ数年のあらゆるFPS形式のパロディも含んでいる。

 しかしこの作品の良さというのは単なるメタフィクションというレベルの評価ではなく、何より美しく面白いという瞬間が多分にある。そこにはカフカやジョージ・オーウェル「1984」、未来世紀ブラジルから、場合によっては現代芸術家の嚆矢ともいえるマルセル・デュシャン的な、綿密な文脈やクリエィティビティの水準の高さを備えた上の「笑いとルール破壊」の美の瞬間さえ垣間見える。ただのメタやジャンル構造の脱構築にはその含蓄が全く無いのが多いため貴重だ。

ハーフライフMODのリメイク版steam販売という出自さえ込みでああValveがマジで現代ビデオゲームのフラッグシップ取ってるんだなと痛烈に感じさせた。2014年一発目の記事は本作のレビューからにする予定。

2013年のワースト

evoland

 現在インディーズゲームは少数精鋭で8ビット16ビットの身なりをしながらラディカルなゲームにするのが多いけれども、意図的にその頃の時代のゲームの進化を追ったコンセプトであるはずの本作は当時のコンソール機での勝ち馬にしか乗ってないほとんど個人史みたいな構成のようにしか見えないため一番パースペクティブがおかしいという。「Retro City Rampage」あたりの方がずっとビデオゲーム史文脈の目線でも広い範囲で真摯なアプローチをやっている。

pretentious-game

 iosで見かけた「thomas was alone」フォロワー。二番煎じらしくアート的にもサウンド的にもなにもかも足りないのはともかく、青い正方形の主人公の男を操作し、各種のパズルを解いて恋い焦がれるピンクの女の子の正方形にたどり着けばゴール、というのはまだいい。なんと最後まで行くとピンクの女の子正方形は他の男の正方形に奪われる。で続きを見たければ課金という嫉妬に駆らせて金を払わせる作戦をまさかのコンセプチュアルなゲームで行う浅ましさ。DLC・課金問題は今年各所で見とれ、正直タチの悪い類の課金法でもないと言えるのだが、正方形があざとく見えてくるというのに成功している、

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6件のコメント

  1. (命名)ジョンレノンの生まれ変わりそれは地下アイドル追っかけ  より:

    hotline miamiは2013ではなく2012ではなかったですか?

    いいね

  2. >(命名)ジョンレノンの生まれ変わりそれは地下アイドル追っかけ さん
    まま、まあギリギリセーフってことでいいじゃないですか
    それいったらウォーキングデッドもジェミニ・ルーもトーマスワズアローンもヤバいんですが
    ロ、ローカライズやコンソールでのリリースということで・・・・・

    いいね

  3. やっぱり今最先端の体験ができるプラットフォームってsteamなんですね~。基本コンシューマ機専門なのでそろそろ本気でsteam導入を検討したいところです。
    そんな僕が今年一番夢中で遊んだゲームはレイマンレジェンドでした。その他特に印象に強く残ったのはラストオブアスとソリティ馬、マリオ3Dワールドになります。GTA5はミッションの退屈さ、Wonderful101は頻繁に挿入される底の浅いミニゲームやQTEで、いずれも素晴らしいゲームだと感じながらも最後までプレイするモチベーションは起きず・・・
    バイオショックインフィニットも面白かったのですが、ストーリーや世界観とゲームシステムが互いを高め合ってるような感覚はラストオブアスの方が上だと感じました。EAbase887さんがバイオショックに感じた美点とズレるとは思いますが、そのあたりの考察にも興味があります。(ぶしつけですいません)

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  4. >はくさいさん
    自分の方針(なんて大層なもんじゃないか、すんません趣味で)は
    次世代ハードに代表されるようなガッチガチの技術の垂直方向での体験というよりかは、
    個人・少人数製作で別の文脈からでのビデオゲーム制作の方向の可能性に興味があるので、
    ちょっと前なら上田文人作品や須田剛一作品がその先端だったんですが、
    今はインディペンデント界隈もAAAもどちらも扱うsteamなどDL界隈がそこで優れた作品出しているなと。
    レイマンシリーズは名前を聞きながら今までロクに遊んでなかった作品なので、
    最近iosで無料だったので遊んでみたのですが、スマホらしいカジュアルなラン系ながら
    コンソールでの2Dアクションの面白さをかなり落とし込んでいるあたりにかなりのセンスを感じました。任天堂がマリオをスマホで出したらこうなるのかな、それにしても去年の任天堂は傍目から見てる限り色々ヤバそうだがどうなのかな、おっと余談が過ぎました…

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  5. 遅れ馳せながらもこの記事を読ませていただきました!
    自分の知らないタイトルも数多く見受けられたので、非常に興味深かったです。
    特に「The Stanley Parable」。最近「1984年」を読み終えたばかりだったので、
    そこに如何なる関連性があるか自分でプレイして確かめたくなりました。
    ところで、私としての2013年のベスト作品は「Bioshock infinite」でした。
    何故かと言うと、昨今多用されている、タイムループものに、量子力学の観点からも
    鋭いメスを入れていると感じたからです。
    不確定性原理や多世界解釈などの概念でストーリーに説得味を持たせ、
    よくあるお伽話からの脱却を図っている…(衒学的かも知れませんがw)
    が自分にはグッときました。
    ここは日本のループもの、『「火の鳥」の未来編、最近では「シュタインズ・ゲート」など』
    とは一線を画している、と感じました。
    そこに奴隷制度に対するアメリカの自虐史、初代bioshockとの対比も加わり、
    一人称シューティングを利用した――そう、当にEAbase887さんが仰られた、「演劇」
    ――現代演劇がうまく組み込まれていると感じたからです。
    (ディレクターであるケン・レヴィン氏は、大学でそちらの分野を専攻してたようですね。
    これからの活躍も期待していただけにirrational gamesのスタジオ閉鎖の件は
    残念です。インディース作品を作るにしてもまだ先は掛かりそうだなぁ…)
    話は少し変わりますが、EAbase887さんが思う、オールタイムでの名作というものも
    是非聞きたいです!!

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  6. >オブライエンさん
    「The Stanley Parable」の「1984年」感(もしくはカフカの「審判」感)は
    ”Parable”の日本語訳通りのその寓話性にあります。
    「1984年」はスターリン時代の社会主義システムに対しての寓話でしたが、
    あの作品はビデオゲームの構造そのものが
    プレイヤーにあるシステムや、不条理な作業を指示しているということの
    システムに対しての寓話ってのが示唆的だなと。
    「Bioshock infinite」もそうですがFPS系統で
    ジャンルそのものの切り口、ゲームとプレイヤーの関係から
    現実の歴史そのものまで含む文脈的な作品が数多くリリースされた年だったと思います。
    オールタイムの名作ですか^^:えー、ほかに見たいと思う方が一定数おりましたら書くかもしれません

    いいね

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