いよいよビデオゲームで描かれる戦争も複雑で繊細な感情が渦巻く時代になる 「バリアントハート」レビュー 

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まったまたUBIのレビューですよ

 アクションからシューター、ストラテジーなどなどゲームジャンルに搭載されるメカニクス、勝敗を問う競技性、ヴィジュアル、刺激、それぞれの要件を満たすために搭載されるメタファーとして戦争というのは常に題材となった。とりわけ、2度の世界大戦はそうした欲求を満たす題材として数多くのビデオゲームにて選ばれてきた。

 戦争はエンターテイメントとしての刺激を満たす膨大な要素で満ちていて、あらゆる客層のフェテッシュに対応してると言ってもいい。マクロ的には思想・戦略・ミクロ的には兵器や軍服、戦艦などのメカニック。宮崎駿あたりを見たってマクロ的に政治信条的に反戦をうたっていても、ミクロ的に戦車や戦闘機というメカニックの美や躍動に引きずられていたりする。

 が、さすがにビデオゲームの段階も変わってジャンルゲームも問われなおし、ゲームメカニクスを生かすメタファーとなる題材そのものへの問い直しも進んでいる昨今。フェテッシュやバイオレンスというレベルで戦争を取り扱う AAAレベルでミリタリーのアクションもフェテッシュもわかってるUBIの「チャイルドオブライト」に続くダウンロード中軽量級ならではのアプローチとは…

 
 


 UBIが独自開発した2Dプラットフォーマー用のエンジン「UBI art」によるもので、「チャイルドオブライト」がJRPG&童話~ジュブナイルのそれなら「バリアントハート」はポイント&クリックアドベンチャー的なデザインにフランスのバンドデシネ(ベルギーやフランス圏の漫画の名称)的なそれだ。

 

 この二つが表向きJRPGのリスペクトだとか、ジャンルにパズルアドベンチャーだとかありながらどこかしらレベルデザインに軽い異質さを感じるのは、やっぱ2Dアクションのリアルタイム性やレベルデザイン発のところがあるから。「UBI art」がまず、「レイマン」シリーズの2Dアクションの強力なレベルデザインを持つシリーズの開発エンジンとして機能していたってのは関係あると思う。基本的にパズルの解法のまどるっこしさや閃きの要求レベルがストーリーを邪魔しないようにかなり低目に見積もられている。

 近年のバンドデシネ系ビジュアルで、しかもポイント&クリック、セリフは無しで会話の吹き出しにはキャラクターの顔や物、てのは「マシナリウム」を思い出させる(といっても他にもいっぱいこういう構成はあると思うが)。

 とりあえずUBIがここで狙ってるのはそういうダウンロード中軽量級のアドベンチャーゲームだと思われる。ゲームのエンターテイメントを充足させる題材たる戦争というメタファーをいかに史実的に解釈しなおせる立ち位置のゲームジャンルは何か?ということで、近年の「Braid」「LIMBO」などやポイント&クリックアドベンチャーのリバイバルが起きているなかで、パズルアクション&ポイント&クリック的デザインのスタイルが選択されたんだと見ている。

 

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 「Spec ops :the line」も登場したし、戦争というメタファーの取り扱いもいよいよ映画やら他ジャンル並に複雑な感情で取り扱われる題材になっていく時期に突入してる時代か?って気配はある。とりあえずyagerはコンソールの大型レベルでそれをやり、大パブリッシャー&デベロッパーであるUBIがそれやり始めてる(振り返れば、Far cry2あたりから)のが構図として面白い。

 なぜって、戦争っていう超大なファクターが絡んでいるものが、意外にダウンロード中軽量級で、インデペンデント制作であまりいないから。(kickstarterざっと眺めると、これからもっと出てきそうなんだけど)。

 例えばパズルアクションというデザインに代表されるように、競技性を最低レベルまで落とし、物語とインタラクティブ、そこで引き出される感情にフォーカスししていくってクリエイティビティはすっごい発揮されてるけど、それってもうメタファー(題材)を引きはがしていった骨格や構造それ自体で、なお感情というものを引き出すデザインを可能にするか?って闘いに個人少数製作では集中がちだから。(映画にしたってインディーシネマが戦争ネタをやってるものってあまり聞かない。あるとは思う。)

 

 戦争っていうゲームメカニクスに乗っかる超大なメタファーを、ゲームジャンルを成立させるために使うだけじゃなく複雑な感情の問題にまで真っ向から掘り下げようとしてるのは、オレがみた範囲でだけど、実はインデペンデントではなくコンソールのレベルやデカい会社がやってるかに見える。戦争というものの解釈の多層化なんて今の映画なんて見たら一発で分かるし、その段階にビデオゲームも入りかけててUBIみたいに「ただのゲームメカニクスによる快楽というフレームも超えたい」と常々仕掛けてるところが率先してやっている、という感じ。

 事実、第一次世界大戦の中で引きあい、そして離れる5人と一匹の犬たちは、50:50の結末を迎える。何が半分づつにわかれているかって?大団円の心地よさとどうしようもない悲劇の二つだ。

 

 UBIらしく商業で培われた王道のデザインと、近年「LIMBO」から「マシナリウム」までのインデペンデントのたった一つの感情へ向かい研ぎ澄まそうとするデザインが相反しあい奇妙な違和感は相変わらずある。(チャイルドオブライトもウォッチドッグスもそう。きっと年末でるfar cry4もそうなる)だがしかし結末に向かい、一人の主人公を生かそうと疾走する瞬間、一人の主人公が最後に歩く瞬間にどうしようなく引き裂かれる感情が喚起される。

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(※今回のねた、「描かれる戦争は今後複雑な感情を~」ってあるけど、じゃあその決定や状況に関しての複雑さがあればその戦争のネタはSFとかファンタジーみたいな架空戦記的なものでもいいのか、「タクティクスオウガ」とかどうなんだとか、とっくの昔に戦争という題材くらいその複雑な感情や解釈はやってるよなど穴はありつつ・・・)

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4件のコメント

  1. もとより、物語を重視したコンピューターゲームで戦争を舞台にした作品というのが、まだ珍しいものじゃないでしょうか。
    筋書きのほとんどない2Dアクションやシューティングでは、装飾として定番の題材だった一方
    、グラフィックアドベンチャーやRPGだと、戦争と兵士を筋書きの中心に据えたものってのはちょっとすぐには出てこないです(RPGはルールとしてはウォーゲームの部分を持ってはいましたが)。
    まあ、FPSのソロプレイシナリオが発展した結果として、アドベンチャーゲーム的なものにたどりついたということになりますが、DOOMの系譜からそういうものが生まれたというのは何とも妙な感じですね。

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  2. (未プレイ段階の印象ですが)
    アドベンチャーゲームには戦争という題材は合わないという価値観(というより感覚)がなんとなく制作者消費者双方にずっとあったように感じます
    とはいえ実際は戦争における感情表現というハードルの高さは映画・小説・漫画などと変わらないとは思いますけど……
    いやいやゲームのインタラクティブ部分が合わなさ、というのはあるかもですね。未プレイなので何とも言えませんが、「Braid」みたいな方が「ゲームならではの表現だよねー」と評価されそうではあるし

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  3. > Quaint さん
    そうすね、ゲームジャンルゲームメカニクスによる競技性の快楽の
    方向性と別にした、ゲームならではの物語性(ナラティブ)に注目した
    もう少し複雑な感情取り扱うもんで、戦争って題材はなかなか扱われ辛い感じです。
    でも今後はキャサリン・ピグロー的なアプローチで、コンソールレベルのところからも
    出てくんじゃねえかなとインディー勃興でダウンロード界隈でクリエイティビティが爆発してる中、
    そういうことを思いますね

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  4. >sabooさん
    ゲームメカニクス観点でのアドベンチャージャンルは
    そのまま探索やパズルを解く、考えさせて解かせることで
    物語が進行する・豪華なムービーというレスポンスが返ってくる、ってもんで
    戦争ネタやるんだったらそのままシューターやストラテジーが当てはまるんですよね。
    (このエントリ書いてる時に調べてましたが、
    第2次大戦時のナチスにスパイに入るADVはあったようです)
    エンタメに多用されながらセンシティブなテーマである戦争を、
    今の映画も文学も当然のようにやってる取扱いにまで
    高められつつある時代にあるのでは?と先走った感想になりました

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