「三上真司はサバイバルホラーの父」それは嘘の可能性「サイコブレイク」

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2014年書き忘れ記事その2

 「まるで過去の記憶がまざりあっているみたいだ」そんなセリフ(ごめん、うろ覚え)を登場人物にしゃべらせているように、過去の三上真司のディレクションした「バイオハザード」シリーズの要素から、近年のTPSの流れに参入した「ヴァンキッシュ」のようなフォームまでを総括したゲームデザインとなっている。

 

 ところがそうした過去を総括したようなデザインであるがゆえに、一つの大きな疑問がゲームを進めていく中で湧き上がってくるのだった。それはシンプルに「三上真司ってサバイバルホラーの父、創始者とかゲームメディアは言ってるけどこれ本当かよ」という疑問だ。


サイコブレイク前史・「シャドウオブザダムド」

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 全体を覆う光と影。それは現実と精神の内部の対照を意味するかのように演出される。「サイコブレイク」で印象深いそれは、オレにはグラスホッパーマニファクチュア須田剛一と組んで作られた「シャドウオブザダムド」のデザインの続きであるように見える。

 TPSという構造で敵との交戦とともに、リニアな進行の中で主人公は精神の内部や闇の奥へと至る。それを光と影が韻を踏むように表現する。「サイコブレイク」「シャドウオブザダムド」からそれが引き継がれているかのようだ。

 しかし現実と精神の光と影という意味で「spec ops: the line」のような成功にまではたどり着かず。「サイコブレイク」もそこまでの領域にまで持っていけてはいない。光と影にデザインも、ただ可能性だけが示されているだけだ。

 

三上真司は偶発的にこのジャンルの父親になったけど、でも実は他に肌のあう女がいて家にはあまり帰っていないような感じ

 三上真司の作品歴を振り返るに、ほんとは主軸にあるのはバリッバリのアクションでプレイヤーの競技性を試す作りをして当然みたいなところがあるのは確かだ。ゲームメカニクスに軸足を置いてるタイプであり本音のところではメカニクスに搭載されるコンセプトやらアートやらナラティブどうたらやら、ましてや脱構築やらのものづくりに関してはそこまで筋力がないのではないかと見ている。

 実際には「バイオハザード4」「ゴッドハンド」「ヴァンキッシュ」あたりの方がクリエイトの主要ラインであると見える。振り返ればバイオハザードは初代だけにしかない独特の恐怖感で満ちていたとも思うのだが、そこには当時の3Dアクション、そもそもの3Dリアルタイムレンダリング、3Dでのゲームを構築することやらの技術的問題、その他様々な要素が絡むことによって偶発的に生まれたのではないか?という気配が往々にしてある。

 日本版Wikipediaなのでソースの正確性は当然、危ういものとして挙げるけどバイオの当初も「刀を持った主人公が街を歩く」ゲームとして制作されており、背景もキャラクターもフルポリゴンにする予定」だったというらしいのだが難航、それから転向の果てにアローン・イン・ザ・ダークの影響も含めて出自を観るにやっぱこれもバリバリのアクションを求めてのものだったのではないか。

 岩崎啓眞氏のバイオハザードのアナライズに詳しいのだが、それが様々な制約の果てであったり、また発売当時の周りにはホラーというジャンルを追うもの、しかも3Dでアクションでシネマティックなものという教祖言う相手がごく少数だった、という部分、英Wikipedia(まあこれもソースの正確性はどうかな…)のSurvival horror の項を読むに、バイオハザードが初めて「サバイバルホラー」というジャンル名を使用したことなど…数多くの偶発の果てに、三上真司がこのジャンルの父、創始者だなんて評価に落ち着いている。

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 「サバイバルホラーの父」という評価、作家性を「サイコブレイク」は宣伝のフックとしているのだが、三上真司は実質的にはホラー専業の作家ではないのでは、ということの作家的な誤差やゲームデザイン的な誤差が「サイコブレイク」にダイレクトにかかっているがゆえにオレは「サバイバルホラーの父」ということに疑問を抱くなんてことをした。

 でももうまとめきれないけど、今までにホラーの根源や可能性のみだけを追求した作家というのはいたのかな、そもそもゲームクリエイトにおいて明確な個人性やテーマを追い続ける作家の定義ってどこからどこまでなのかな、だなんて思うのだった。

 

 

唐突に次のサバイバルホラーの可能性のタイトルを挙げてこのエントリはおしまい

 三上真司は現代のサバイバルホラーというジャンルを定義させる仕事をしたのは確かだが、作家のテーマや歴史としては違うのではないか、という結論をとりあえず出しつつ、オレが思うサバイバルホラーに転用すべきデザインというのを挙げてここはまとめてしまおう。

 「サイコブレイク」は何度も同じようなところでトライ&エラーを繰り返すようなデザインになっていったが、それは”恐怖に打ち勝つ”というコンセプトと裏腹に”すでにここで同じことが起こる”ことがわかり切ってしまうために恐怖の方が無くなっていくだけだったと思う。

 では恐怖とは、やはりプレイヤーが圧倒的に不利であり、そしてなおかつ先行きが不確定要素だらけであると言うことが望ましいだろう。そう、可能性のひとつはローグライクのデザインとのミックス。

 すでに不確定要素ということではマルチプレイヤーの「Day Z」などがもっともある意味でこのジャンルに求められているものが実現されているし、また古くにはローグライクとホラーの混ざり合ったもので「バロック」などもあっただろう。

 ここでひとつ、が提示していた光と影というデザインと、ここでいうローグライクの持つ不確定性が生み出す恐怖、それが混ざり合った作品を挙げて終わりにしたい。おそらくPCで閲覧している誰でもすぐさまほとんどコストなく遊ぶことが出来るだろう。そう、フリーゲームだ。

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 「Rogue light」 本作は海外フリー・インディーゲームを公開している大手サイトGamejoltにて公開されている。闇の中先が見えなくなる恐怖、数少なく持つ火の矢が無くなり、完全な闇の中をか細く歩く不安、集めたコインで強化し繰り返すことで恐怖に打ち勝っていく様などがデザインされる。

 サイコブレイクとはケイン・ヴェラスケスとデメトリアス・ジョンソンぐらい階級が違うのだが、シンプルにして確かな可能性だ。格闘技(MMA)ネタを意味も無くぶちこんで投げやりにこの文章を終える。
 

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5件のコメント

  1. 三上作品はあまり遊んでないのでゆるい印象ですが
    確かにホラーとか精神的な表現とかよりは純粋なアクションにこだわりがある気がしますね
    「サバイバルホラーの父」という肩書が足かせにすらなってるかも。

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  2. そう、バイオハザードもどうも数多くの制約の果てに生まれた偶然みたいなとこある
    (と解釈してます)し、ネームバリューからするとどうも構えるとこあるんです

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  3. バイオハザードの生みの親は藤原さん
    カプコンの経営陣と対立し退社したので、新人の三上真司を当てがい、藤原さんの名前は抹消ってのが真実。
    ったのは、関西のゲーム業界では有名な話。もう40代以上の人しか知ら無いけどね。

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  4. あんまり業界裏話は掘り下げないように考えてるんですが、
    それはバイオの構成全般は藤原氏が作り上げたということなのでしょうか…
    三上氏がサバイバルホラーの父という表向きの評価も
    それはそもそも違うものだったんだよとということでしょうか…

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  5. 我ら素人には分からないでしょう?ただ、面白いゲームなら開発者なんてどうでもいいです。はたから見たら、ライバル意識を持ったゲーム 開発関係の人が妬んでるように見えます。

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