ゲームスコープサイズのTOKYO INDIE FEST 2015

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 会場前になぜかフリーマーケットが拡げられており、背中じゅうにラブライブのバッジをつけたイグアナになろうとしている青年などを横目で見ながら行きました「TOKYO INDIE FEST2015」

 今のインディーというのは「独立した作家による既存の市場や価値観にとらわれないモノづくりをする個人や少数」という意味よりも、どうあれ硬直化しつつあるメインストリームから外れ、ほとんどの縛りのないアンダーグラウンド側のちょうど中間の市場の意味していると思う。

 TOKYO INDIE FEST 2015はビデオゲームの中間市場の見本市のイメージだ。個人・少数製作チームだけではなく大企業もしくはそこから独立した著名クリエイターの出展はもちろん、この状況に象徴的に感じたのは無料版で誰でもインストール可能、個人からプロフェッショナルまで利用するゲームエンジンunityがスポンサーとなり、ブースが会場の真ん中に位置していることだ。

 そんな感じでゲームならではのインディペンデントの意味合いの変化の中での、ゲームスコープサイズの注目作をピックアップ。

GENSO

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  「MYST」やバンドデシネ・絵本作家ショーン・タンの影響を受けたというアドベンチャーゲームなのだが、特異な仕様になってる。ゲームのみで完結せずに謎ときに専用の書籍を利用させたり、スマホアプリを利用することで作中の世界観を徐々に理解させていくという手法を取っているという。ちょっと「二ノ国」とか思い出した。いやレベルファイブとは日本とアトランティスぐらい違うんだが…

 さらには同じ世界観の作品を同時に多数展開し、断片的な情報をプレイヤーが集めていくことで大きな世界像を想像させていくという、単一のゲームで完結させない方法を取っている。これはPSの「lain」の影響があると言う。

 これまでも単一のゲーム本体で世界のすべてを完結させず、複数の作品をまたがり世界を想像させ続けるという試みはあった。芝村裕史がいたころのアルファシステムによる「ガンパレードマーチ」前後で意識的に行っていた無名世界観という方法であるとか、さっき言った本体と別に書籍のような別メディアと連携する「二ノ国」であるとか今では当たり前になりつつあるコンパニオンアプリの使用などなど、単一の作品、メディアにとどまらず作品世界をプレイヤーに意識させ続ける試みは少なくない。

 例に挙げてきた作品は美学や方法論の上というよりも、「開発会社のブランディングの意味で」みたいな商業上の戦略も多分にある。だが本作は徹底して単一に終わらせずにプレイヤーに世界を想像させ続けることに集中していくのだと思われる。それは壮大な挑戦である。(なんか書いてるうちにこういう試み全体の別項立てたくなってきた)

 

JumpGun

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 もともと戦闘やアクション主体の構図だったものを、非戦闘の構図にしたり構図を逆転させたりしたパズルアクションってのはここのところけっこう見かける…っていうかパズルアクションってわりとそういうもんでもありますね…「braid」のようなアプローチもカテゴライズするとしたらパズルプラットフォーマーってことになりそうですね…

 本作は例えばロックマンのようなショット&ジャンプアクションを元にしているのだが、プレイヤーはジャンプできず、ショットを撃たれたものがジャンプする、というメカニックとなっており、それを利用してステージをクリアしていく。

 奇しくも本会場に稲船浩二の「Mighty.No9」も出展していたのだが、ほぼロックマンそのまんまだったりする。大手から独立したクリエイターが既存のIPを引きずった新作でキックスターターで資金確保を行うみたいなケースがどんどん出ているのだが、正直実験的にいくというより勝ちに来ている。絶対にオレの勘違いなんだが本作は無意識に「Mighty.No9」を強く睨みつけているかのようだ。うそうそ、単純にオレの本作へのゆがんだ期待だ。

 

 

BLACK WITCHCRAFT

 

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 韓国の独立デベロッパーQUATTRO GEARによるゴシック2dアクション。「デビルメイクライ」「オーディンスフィア」「朧村正」などバニラウェアの影響が見える。まだ触りごこちは固めなんだけど、2Dの「アリスインナイトメア」的なムードになっていったらいいなあと思いました。

 

PAVILION

 「4人称視点」というアプローチによるパズルアドベンチャー。極めて美麗なビジュアル。視点4人称ってのはいささか挑戦的な名称ではあるけれど、パッと見のメカニックは「ワンダープロジェクトJ」とか場合に寄っちゃ「チャイルドオブライト」を思い出す。

 

BACK IN 1995

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 PSvitaでゲームプレイをさせていただいたことも相まって本当にPSアーカイブスで偶然見つけた未知の作品みたいな感じが凄まじかった。まず「バイオハザード」や「サイレントヒル」あたりが想起されると思うんだけど、ぶっちゃけオレの記憶から濃厚に喚起されたのは中古市場で地味に眠ってるPSのアドベンチャーゲームだったりする。「アコンカグア」とか「ミザーナフォールズ」を見つけた時の気分だ。バイオハザードがヒットしたあたりで量産されたフォロワー特有のもっさりした感じ、あの記憶と愉しみ。

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 勝手にオレが思ってることで「10年前のものは時代遅れでダサいが、20年が経過するとレガシーとなってリバイバルが起き始める」というのがある。10年だと現行の技術を引きずるところがあるけど、20年だと現行の技術から手を離れるから?確証はない。

 だが、PSやサターンのリリースから20年、本作の発表が各所で話題になっているのはかなりわかりやすいリバイバル期に入ったってことかもしれない。

 ローポリ&粗いテクスチャ利用といったらキングオブキングスはもう売れすぎ話題になりすぎて逆に問われない「マインクラフト」がそうだと思う。
またローポリを美的に再デザインするというのに「glow home」のように極端にポリゴン数を減らしたままにデザインする方法のものが出始めているなど徐々に変化は現れている。

downwell

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 日本の個人製作ゲームにおける総合格闘家・堀口恭司とも例えられるもっぴん氏の注目作。downwellが瞬く間に海外インディーパブリッシャーの代表格であるdevolver digitalとの契約したことは、まるで堀口が疾風怒濤の活躍でアメリカの総合格闘技最大団体のUFCと契約したかのようだ。

 スマートフォンの縦画面を利用した下へ下へと、足から放たれる弾丸を撃ち放ちながら下っていくデザインは堀口の軽やかなステップワークから突如放たれる打撃のようにスマートだ。当初は様々なメカニックのあるアクションだったそうだがこうしたシンプルな形に割り切ったデザインが素晴らしい。

 堀口がそうしてUFCフライ級のチャンピオン・デメトリアス・ジョンソンとの対戦にまでたどり着いたがごとくリリース後の本作がホットラインマイアミばりに高い評価を得ていくのだろうか?


space world

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  さて大トリはオレが現場で見た期待作で今回のエントリを締めよう。現在中軽量級ゲーム界隈ではローグライクタイプの作品が非常に多くリリースされており、本作もそうしたタイプに当てはまると思う。

 個人的に注目したのはアートスタイル。現在ピクセルアートタイプの作品では丸々過去の8bit16bit再現というのは珍しくない。でもほとんどが再現までのなかで、次の段階のピクセルアートまで突っ込む作品は少ない。例えば「スキタイのムスメ」のカピバラゲームスであるとか「hyper light drifter」であるとかなんだが、日本でその感覚まで突っ込んでるのは「apocalypse gardening」くらいではないか。(知らないだけかも。スマン)

 本作は日本では数少ない現在形のピクセルアートのスタイルを実践し、「Nuclear Throne」のように全方位シューターによるローグライクとなっているようだ。

 試遊して見たところ、複数の銃器を切り替えながら膨大な敵をぶち殺し、溢れるアイテムを回収しまくる感じは溜めや戦略が要求されるローグライクと言うよりかはハック&スラッシュに近い。これから作品としてゲームプレイを固めていく過程に触れられた感じだ。

 なにか勘のいい作品ではないかということで、ゲームスコープサイズのTOKYO INDIE FEST2015の期待作は「space world」ということで!


 インディーはますます中間市場としての意味を強めるし、様々なゲームエンジンの無料リリース化というのもそういうことだよなと今更思う一方、デザイン的にはこれからPS・SSポリゴンリバイバル→現在のグラフィックスやデザインのトレンドと混ざり合い現在形ローポリデザインみたいのもおそらく続々現れるとは思う。

 来年はアンリアルエンジン4を無料化したエピックゲームスも関わってくるんでしょうか?そしてコナミから出ちゃった人たちの作品がいくつか出展されるのかな?「悪魔城ドラキュラ」のプロデューサー五十嵐孝司氏がキックスターターで出資を募り、アンリアルエンジン4製で作るって言ってるくらいだし、かつて大パブリッシャーにいたタイプがクラウドファンディングで注目を集め、資金を集めていく時代ですね(実際企画的に実験と言うより勝ちに来てるデザインだと思う)。

 中軽量規模ゲームの中間市場はどんどん厚くなっていきそうですね…インディー(市場の意味)の中のインディー(旧来、というか本来の独立の意味)をやるひとってのが出てくるようなこともこの先にはありそうですね。仮にそうした存在が登場したとしてその意味とは大変に危(来年に続く)

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2件のコメント

  1. こんな祭典やってたんですねえ。行けばよかった…
    しかしなんというか、シーンについて行くのを投げ出してしまったので、紹介されているゲームを見てみても、Downwellは白黒表示で昔だれかが公開してたポケコンのミニゲームっぽいとか、space worldは果物いっぱいでDo! Run Runやバブルボブルみたいだなあとか中身のない感想しか出てこないのが寂しいところです。
    日本のゲーム世界にメジャーと独立系って関係が合うものかどうかよく分からないですが、とりあえずはこのクソ停滞期のカウンターとして、インディー市場には発展してほしいですね。

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  2. けっこうインディーうんぬんに関しては
    ちょっと細かい話になってまして…
    すでに既存のビデオゲーム制作構造の
    カウンターとしての価値は存分に発揮した時期であったりするわけで、
    現在は既存の大企業サイド(もしくは出身のクリエイターなど)が
    そのインディーがやってきた方法に介入しまくっているみたいな時期やったり
    するわけで、変な話カウンターとしての価値の強い時期はけっこう通過してるんです…
    クリエイティビティに関してはほんとは市場とか名の付く段階に入ってると
    (いやこの記事ではぼくが勝手にそう仮定してるだけですが)
    もうある種の純粋性というか、既存の構造の反抗や代案みたいな部分て
    薄まるもんなところはあると見ます

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