GAME ONに行ってきましたよ

 

お台場の日本未来科学館でやってる企画展「GAME ON」にいってきましたよ。気が狂うくらい面白かったですよ。

 

展示と歴史観

 

いきなりでなんだがこうした展示で真っ先に気にしちゃうのがやっぱ歴史観だったりする。この企画展はイギリスのもので、今年ようやく日本での開催が実現した、とのことらしい。

 

ちょっと前の東京ゲームショーだったかでビデオゲーム史の概略が貼られたコーナーがあるのだが、ざっと眺めてみるとやっぱり会の性質上日本国内のコンソール中心史観でファミコンが全てのスタート…みたいなことが少なくない。国内の産業が拡大するエポックということでは間違いないんだろうけども、”現代史を編むのは簡単じゃあないんだ”というのは誰が言ったか。様々な出自や様々な立場があるし、いまもまだリアルタイムで継続していることだから検証しきれない面もあると考えると、偏った歴史にならざるを得ないのかもしれない。

 

 

ではイギリス発の「GAME ON」はというと、バリバリのアーケードゲーム史観でスタートしている。それは企画展に足を踏み入れた瞬間に全て伝わるだろう。いきなり目の前に広がる光景はほぼ全てがビンテージである伝説的な筐体群である「ミサイルコマンド」や「ハングオン」を遊ぶのに列を為し、BGMとSEが混然と鳴り響き、ゲームプレイを眺めている人々の群れだ。

 

普通じゃないおっさんが真顔のまま延々と「ディトナUSA2」を爆走させ続け、「ディグダグ」から遥か後に生まれた小学生くらいの男の子が「わかった!最後は敵を誘い出してポンプで倒せばいいんだ!」と攻略法をお母さんに叫んでいるという光景がそこかしこにあり、ゲームセンターの空気に近い会場に入ることになるのである。

 

 

入口のアーケードから「いかにゲームのハードの展開から表現が変わっていったか?」をかなりざっくりとまとめたうえで、出口に近づくにつれて大掛かりなグランツーリスモでのドライブシミュレーターとVRで締めるというのもやけに良く出来てるとか思った。それは現場で体験する展示、ということで。

 

意外に任天堂の影が薄い・むしろ元セガの鈴木裕が大きい

 

そして意外なのだが、アーケードゲーム史という入り方もあるのか、どのような歴史観であったとしても重要な位置に入るだろう宮本茂の存在が「ドンキーコング」「マリオカート」と極端に少なく、むしろ鈴木裕の存在の強さを再確認する。「ハングオン」「アフターバーナー2」「バーチャファイター」そして「シェンムー」といった代表作が企画展で揃っているからだ。こうして振り返ると体感型のアーケードゲームや現実のシミュレーションの傾向の強いデザインを行いつづけていた、という鈴木裕の仕事にもっとも沿った企画展でもあったと言え、「シェンムー3」のほかにVRでもなんか作ってほしいですね…なんておもったのだった。

 

おまけにアーケードからVRで終結するという、企画の体感や没入の方向性が比較的大きい割に、任天堂のWiiがあまりフィーチャーされていないのも気にかかったりした。wiiらしい体感を示すソフトとして出展されたのが、「wii sports」ではなくなんとwii wareで配信されたバンダイナムコの「マッスル行進曲」、そして「ドラゴンズレア トリロジー」の2作品である。「ドラゴンズレア」に至っては最初期のLDゲームで、アーケードが初出であるし。カプコンでも「鉄騎」があったというのに。

 

歴史がそこまで長くはないジャンルの場合は様々な立場や視点でいくらでも偏る。国内では宮本茂を核にした任天堂史観が猛威を振るうことが多い印象はあり。最近のインターネットとかで個人が書いてるものでもその史観は大人気で読む側も知識としてあるし、書く側も張り切ってること多いから。

 

自分自身なんかは完全にコンソールゲーム史観でしかも初期PSらへんのマルチメディア志向こそビデオゲームの可能性とか思い込んでるやつという久多良木ゲノムの超偏りまくりの歴史観(インタラクティブこそがビデオゲームを成立させる要素派 だから日本未来科学館の常設展もビデオゲームだよと思い込む極左)だったんだけど、その辺のアプローチはさすがになかった。正しかった。

 

ビデオゲームの正史の展示とは…

 

ビデオゲームの正史をどこに置くのかというのもそうだが、そもそもこうした企画展と言う形で歴史を定義していく試みでビデオゲームの場合、アートと違ってどう見せていくのかというのもわかんない。やっぱりゲームプレイは必須でアーケードゲームからスタートしVRで終わる「GAME ON」は正直半端ではなく面白かった。でもやっぱコンソールの区画になると展示方法の関係か極端なレベルで色あせる。スマートフォンのゲームではあるんだけど、今最も広まっているプラットフォームはこうした場では死体のように存在感を無くす。

 

ニューヨーク近代美術館がビデオゲームの収集をはじめたことは数年前にちょっとしたトピックスになったけど、ビデオゲームを歴史としてまとめ、展示する場合ってその方法の最適なものがまだ見つかっていないように思える。「GAME ON」はアーケードゲーム発の体験や没入に絞ってるので、現場ではそういうタイプのものが映える。「展示風景が自然にゲーセンを表現するインスタレーション(※空間全体を使った作品や表現の意味)になる」という点も込みで素晴らしかったのだが…逆に思い知らされるのはビデオゲームってコントローラーと画面を見て遊んでればそれでOKだろ?というわけではなく、思った以上にゲームをプレイする空間の影響はでかかったのかもなという当たり前のことでもある。

 

この辺はアーケードの展示とコンソールの展示との差で痛感したので、近未来的にはコンソールの展示は各時代の環境(まあ単純にファミコンの時代ならブラウン管TV使うとか…)を再現したり、インスタレーションの手法も導入した方がいい気がした。単純に画面とコントローラー並べるだけでは成立しないんじゃないか?50年後にスマートフォンのソーシャルゲーム企画展が実現したとしたら、電車内そのままの環境が再現されて座席に座ってパズドラやるみたいな展示になったりしてね。そうなったらなんだか企画展というか企画物のAVじゃんってなるけど。

 

 

というわけで次はPCゲーム史観による企画展ってのがあったとしたらどんなのになるのかな…アドベンチャーとコンピューターの関係の区画とか、doomの革新性とかmod文化の区画は熱いだろうな…とまで妄想したところで、どのサイドでも偏った歴史観ではなくて、まずは大元の土台となる確かな歴史を作ったうえじゃないと部分部分の歴史の意義を企画展としてまとめることに意味ないな、とも思う。そこから3DOの企画展とか、PCエンジンのみに絞る企画展とかで意義を探ったりする展示が出たとしたら意味あるんじゃないでしょうか。

 

 

 

「GAME ON」はこの先にビデオゲームで確かな歴史観が構築されたあとならば、そして展示会でコンソールゲームの展示方法やPCゲームの展示方法のオーソドックスな形式が確定したならば、ビデオゲーム史のなかで「アーケードゲームからVRまでの体験に注力した企画展」寄りということになるだろうと思います。ともあれビデオゲームの保存と、それに伴う現代史というのは編まれはじめているのは確かだねと思ってお台場のガンダムを見て帰ったのでした。正史と言うのは本当に難しいよ。

 

 

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2件のコメント

  1. この展示、Apple IIとATARIスターウォーズの実機が見られるってだけでもうめっちゃ行きたいんですが・・・余裕が無い 無念

    しかし、昨今のゲームのバーチャルリアリティーは基本的に研究所ゲーム→パソコンの系譜にあたりそうなので、エレメカ・ピンボール・体感ゲーム系のアーケードとは無関係じゃないとはいえ、展示物の傾向はちょっと混線してる気がしなくもないですが・・・

    ライブで遊ぶものとしてのアーケードゲームの未来を考えるなら、拡張現実な試みのほうが近かったりするかも知れません なんとなく

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  2. 行きましょう行きましょう
    職場には季節外れのノロウィルスにあたりましたつって
    ずる休みして行くくらいの価値はあ…るかどうかは、
    そちらの環境や現行の仕事によります、

    開場と同時くらいに入るのが吉です 
    11時くらいにはいったんですが、閉館までに全て触れ切れ無かったですもん
    あと1週間しかないですが、
    ほんとこればっかりは現場に行かないとわからないと言える展示です

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