ふと思い出すクソゲー・「サンリオタイムネット」ポケモンブームのダークサイドムーン

Kitty

 クソゲーには出来れば出くわしたくないものだろうが、なるべく避けるようにしていても2.3本は出くわすことがある。が、最近は極端なバグが目立つ作品などを別に、最初からコンセプトがおかしくなったまま突っ切った「ゼノサーガEp2」のような心に残る底抜けの大作というのもあまり見なくなってきた。近年のクソゲーオブザイヤーなんか少しも面白くないわけだし、時代ですね・・・

 

 そんな時代ながらふと懐かしく思い出す、数少ないクソゲーが一つある。あれは小学生か中学くらいのことだったかに遊んだGBの「サンリオタイムネット」だ。

 しかしふと思い出してネットで色々探しているうちに、良く考えたらこのゲームのとてつもなく恐ろしい側面に気付き、ある意味昨今の時節ではおそらくは発売が不可能だろう思われる時代に乗ったソフトであったのである。サンリオの怖さをみんな分かってない!それはなにか?ということでのGBの一時代のクソゲー回顧。

 

■「ポケモン」が生まれた後のゲームボーイに現れたあれ

 さて1996年、今ではあまり考えられないことだが任天堂初の携帯機であるゲームボーイ、ないし携帯ゲーム機というのはかなりの苦戦を強いられていたとのことらしい。ウィキによれば「テレビゲームには「次世代機」と銘打ってプレイステーションやセガサターンが登場し、発売から丸6年が経っていたゲームボーイは次第に時代遅れと見られ始めていた」ようで、現に発表タイトル数もGB発売翌年の1990年の118タイトルに対し、この年96年にはわずか3分の1近い38タイトルまでソフトが減少することになる。 なんと当時携帯ゲーム機市場は縮小傾向にあったということらしい。

 ところがそんな状況を完全に覆していったゲームがこの年発売される。そう、「ポケットモンスター」である。モンスターの収集や育成にゲームボーイの通信機能を生かした交換などが可能なゲームデザインは携帯ゲーム機の持っているポテンシャルをフルに生かしたと言ってよく、このゲームのヒット後には「ゲームボーイ市場、ひいてはコンシューマーゲーム市場そのものは大きく変化した。」というほどという。発売3年後にはゲームボーイの上位バージョン「ゲームボーイカラー」が発売され、発表タイトル数も4倍近い146タイトルまで上昇することになる。

 まさしく歴史を変えたソフトと言って過言ではないのだが、そのように拡大した市場の後追いとして、例によってポケモンのデザインをモデルにした作品が後発にたくさんリリースされることになる。「メダロット」「ロボットポンコッツ」などなどの作品が生まれたのだが、この「大量のキャラクターを収集・育成・交換」というデザインは一方では版権を生かせるキャラゲーにも転用されることになり、ポケモン発売のわずか10ヶ月後に「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪創造主現る!」がリリースされており、「サンリオタイムネット」とはその流れの一つなのだと思う。だがしかし・・・

■”トレーナー”と”モンスター”の関係が謎!いや、もしやこれって

 さて、ポケモンのデザインを借用したゲームではとりあえずはトレーナーがモンスターなりロボットなりを使役する、という大前提があり、色んな人とそれの交換や対戦などを行う世界観というのが基礎になっている。

 しかし、キャラゲーの場合これの関係をどうするのかといった部分は出てくるだろう。特に原作の多数のキャラクターを仲間にできるゲームの場合、プレイヤーであるトレーナーに当たるキャラと、主に収集・育成する対象のモンスターやロボにあたるキャラとの格差が少ないような世界の場合どうするのだろうか?

 さっきの「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪創造主現る!」などは鬼太郎が仲間の妖怪を集めていくもので、鬼太郎自身も戦闘を行う。レベルが足りなかったら妖怪は見向きもせず仲間にならないなどなど、格付けは対等に近い。これはまだ分かるのだ。しかしまず第一に「サンリオタイムネット」で違和感を抱くのはこの「トレーナーがモンスターを使役する」という部分である。

 「サンリオタイムネット」の世界では「未来と過去を結ぶ時の柱が砕け散り、砕け散った欠片がモンスター化しており集めることで時の柱を直す」というのがおおよその目的で、ポケモンのように時のかけらのモンスターをトレーナー同士が闘わせたりする(しかしお前ら時がぶっ壊れてるのに何をしてるんだ?)のだが、ここで非常に問題なのがトレーナーとモンスターの関係なのである。

 

 

 一応主人公は人間でありモンスターを使役するって構図ではある。がしかし異様なほどモンスターのデザインに統一感が無く、おまけに妙にデザインの質が低い。一応主人公が最初に選ぶものこそポケモン的なモンスターらしいモンスターである・・・と(苦渋の顔で)言えるんだが、いきなりゲーム開幕出会うモンスターが「かぜっぴき」 。どう考えても「モンスター」とは言えない子供キャラ。しかも容赦なくそれをレベル上げに刈りまくる!ゲーム開幕やることは風邪をひいた子供を手持ちのモンスターに使役させて刈りまくるという非道極まりないゲームプレイを強いられるのである。

 一体何がモンスターなのだろうか?他にもモアイにリボンを付けただけの「モアイはなこ」、魚拓みたいに化粧を落とした後の紙のモンスター「ガンタク」など、もう何かを言うよりも、ラクガキのラフがそのまま通ったとしか思えないような壮絶なモンスターが満載だ。

 ポケモン系統の世界観のルールである”トレーナーが使役するモンスターかロボ”の関係や定義がまったく統一されていないおかげで一体何がモンスターなのかも分からず、おまけに学校や町のようなRPGの安全地帯でさえ、さっきのような敵が襲いかかってくるのだ。町でちょっと会話してふと振り返ったら「モアイはなこ」!まるでサルバトール・ダリの世界の中のヨハネスブルグとしか形容できないという、このようにポケモン系の中では過去類を見ない現実が歪んでいくシュールな冒険を体感していくことになる。

 ところがそんなものは序の口であり、このゲームのモンスターの世界観の真相はあまりにも恐ろしいことが後に発覚する。

■統一感が全然無いモンスターたちの理由、それはサンリオキャラのあまりにも恐ろしいアウトレイジな現実だった!

 

 さてポケモン系の華といえばやはり他のトレーナーとの対戦が挙がるだろうが、ここで「ちょっと待てよ!」と思うのはこのゲームでトレーナーとして出てくるのはバッドばつ丸だとかけろけろけろっぴなどのサンリオの人気キャラクターたちなのである。

 それのどこが「ちょっと待て」なのかというと、もうどっからが人間キャラでどっからがモンスターなのかの定義なのかがいきなりわからない世界観やモンスターデザインの理由がとんでもなくえげつないものだということに気付いてしまったからだ。

 一体それは何か?とりあえず、ハッキリ人間である主人公がモンスターを使役する構図にはギリギリで違和感がないのだが、バッドばつ丸などが先の「かぜっぴき」だとか「モアイはなこ」を使役するという構図を見た瞬間に電流が走るように、あの統一感の全くないモンスターたちの本当の意味がわかったのだ。

 サンリオと言えばそれは日本のポップなキャラクターを数多く輩出する会社であるが、現実には実らなかったキャラクターも数多く存在する。ここまではどんなエンタメでもあるよくある話だと思うだろうが、実際に実らなかったキャラを見ると愕然とする。サンリオのウェブサイトに過去生みだしてきたキャラクターのアーカイブがあるので、そこから「これはもう全く知らなかった」といえるだろう認知度の低いキャラをいくつか抜粋すると、以下の通りだ。

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 これは「ぽんぽんひえた」「笑う女」というキャラクターである。アイスを食べておなかを冷やすからこの名前というのはこっちが一気にアイスをかきこんだわけでもないのに頭が痛くなるのだが、おそらくはサンリオのキャラクター中でも屈指のいいかげん・ラクガキまんまの感じがするものをチョイスしてみたのだが、
もう見てるだけで脱力させられる1989年発のこのクオリティのキャラは当時のヘタウマの流れをキャラデザにも取り入れて採用されたものと邪推するのだが、今ではこのキャラが全く見ないことから失敗キャラの一つといえるだろう。

 このようにサンリオキャラクター帝国の下層にはこうしたレベルのキャラがちらほらと見られ、もう賢明なる方は分かったと思うがこのクオリティというのがさっきの「かぜっぴき」とか「モアイはなこ」のデザインのレベルとかなり近いところにある。

 と、いうことはだ。あの出てくるモンスターってのはサンリオの没キャラなのではないか?という仮説が成り立ち、実際に製作に関わっていたプランナーの日記からも「サンリオの某大御所デザイナーさんがデザインしたから」という証言が残されており、そこに乗っ取るとその没キャラたちを一流キャラクターであるけろっぴだとかばつ丸だとかが使役して闘わせるというとんでもない構図となってしまうのである。これではまるで吉本だとかとんねるずのやっている若手芸人いじりの構図だよ!

           現実のサンリオタイムネット 

 そう、この作品の”トレーナーとモンスターの関係”とはサンリオキャラの上下関係というあまりにもなもの。かくて主人公はサンリオのキャラクターデザイン最底辺のキャラを集め軍団を作り、一流サンリオキャラが繰り出す若手サンリオキャラとの仁義なき戦いという内容という凄まじい血まみれの世界となっているのだ。

 

 ポケモンも動物愛護団体PETAに「あれは動物虐待だ!」などと突っ込まれる昨今、サンリオキャラクターの恐るべき内情が現れている本作は最近の柔道と体罰の問題やパワーハラスメントなどの問題を抱えた作品ともいえ現在の時節柄危険な内容であり、当時のポケモンブームのなかでしか生まれ得なかった時代の寵児といえるキャラゲーなのである。

 

   このエントリを、かつてネットでやっていた企画クソゲー竜王戦に捧げます。

 

  EAbase887

 

 

 

6件のコメント

  1. >(できれば何か名前付けてくれると有難い)名無しさん
    ネットでのクソゲーいじりが一番面白かった時期のものでした。
    ただのバグや完成度の低いものの陳列棚と化したKOTYはひどいですね。

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  2. 物語のラストでこの世界の正体?みたいなもんがわかるんですが、そのことから
    某掲示板の作品スレでは「モンスターデザインは黒幕のいろんな記憶が反映されているのでは?」
    と言われていて妙に納得した記憶が。
    この意見を前提として考えると風邪引いてる子どもとか結構怖いものがありますね。
    そうはいってもゲームが激ムズ過ぎて
    大抵のプレイヤーは最後まで行けないのですが(私も無理でした)

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  3. サンリオタイムネットは昔、弟の友人にほんのちょっとだけやらせてもらったけど、
    こっちのレベルが30前後なのにレベル60オーバーの敵が出てくるダンジョンとかに入れて
    えらく難易度高いなぁって記憶がありますね
    「毒電波」って技あったよね?

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