仕事で横浜に行くとき、みなとみらいへ向かうことが多い。雑多な街並みの渋谷駅から電車を乗り継いで、みなとみらい駅へ着くと、きれいで人工的な街並みが広がることにいつも驚く。駅を出れば、すぐ側でよこはまコスモワールドの観覧車と、曲線のシルエットの建物であるヨコハマグランドインターコンチネンタルが見える。横浜が紹介されるとき、クリーンな都市風景の象徴として、いつだって写真に撮られているイメージだ。
そんなイメージの周りを、溢れるくらい俗悪なもので埋め尽くしたことを、『龍が如く』シリーズを書き替えた制作側はどれだけ意図していたのだろうか。コスモワールドの観覧車のある海の向こう側では、車上荒らしに向かって壮年のダンサーがキックを放ったり、アイドルが倒れた相手を殴りつけたりするような、コントなのか喧嘩なのかわからないことがいつも起きている。
『龍が如く7』は一見、横浜の綺麗なイメージの周りで、露悪の限りを尽くしているかに見える。しかし奇妙なくらい豊穣な印象があった。おそらくそれは菊地成孔が『フロリダ・プロジェクト』の映画評で語ったみたいな豊穣さに繋がっている。